雑記

森茉莉

群ようこさんの作品が好きで
ほとんどの作品を読んでいるのですが
その中の「贅沢貧乏のマリア」で森茉莉氏のことを知りました
群ようこさんは森茉莉氏のファンだったようで
作中に出てくる慎ましい生活背景など影響を受けているようだった。
「れんげ壮」「びんぼう草」など。
穏やかな時間が流れており、心地よく、あっという間に読んでしまいます。

さて、
森鴎外の娘 森茉莉
ぱっぱ、ぱっぱと父を呼び
心の底から父、森鴎外を溺愛していたと書かれていました

父がどれだけ自分を愛しているか
妹と競い合うほど

茉莉氏は働きたくはないから
「千円降ってこないかしら」
と空に向かってつぶやいてしまう
根っからのお嬢様で
中年期は貧乏生活となります
50歳にしてようやく作家デビューをしますが
なりたくて作家になったわけではなく
千円を稼ぐ為の手段が物書きになる事しかなかった
からなんだそうです

そんな茉莉氏は父からの遺産で土地を持っていましたが
そこに住むことも手をつける事もなく
自ら望んで貧乏生活をしていたそうです

なぜなら
それは楽しいから

自分の住みたい町に住み
そこで暮らしをする

けして豊かではないし
満足できる暮らしではないけれど
狭くて古いアパートでの一人暮らしを茉莉氏は楽しんでいた

地に足のついていない生活
片付けが苦手で散らかし放題の部屋

楽しむために着たい洋服を着たし
食器や食べる物にもこだわったが
それはけして絵に描いたような贅沢ではなく
今にも崩れ落ちそうな本の山の中
わずかなスペースを確保し
こだわりの器でご飯を食べたり
好きな服に穴が開いたのなら縫い繕い着ていた

根っからのお嬢様ということもあり
亡くなるまで品を兼ね備えており
いつまでも
お嬢さんという雰囲気のまま
おばあちゃんになりました

ないならないなりに
生活を楽しもうとチャレンジする姿勢が
読んでいて飽きなかった

足るを知る

我慢とは違い
足るを知りながらも工夫し
その中で優雅な生活を楽しむ姿勢

物の選び方など
なんだか山羊座っぽいなと思っていたら
茉莉氏は山羊座でした

2度の結婚をし、
茉莉氏は結婚には向いていないことに気がつき
ただ自由でありたいと幼い我が子まで手放しますが
後に子供達は大人になって茉莉氏に会いに来ます
大人になった子供達は茉莉氏を尊敬し慕います
「親はいなくとも子は育つ」ですね

子供を捨てるなんて、なんてひどい母親だ
と思ってしまいますが
確かに茉莉氏が育てるよりは他の方に育ててもらった方がいいだろう
と思うほどに茉莉氏は子供すぎたし自分に正直すぎた

のちに結婚について
「私は世間というものに余り魅力を感じなかったし
それよりも自由ということが大きな魅力であった」と語っています。

自分に正直に生き、貫き通す自由奔放さがたまらなく魅力的で
読み終わる頃にはファンになってしまう

物は最後まで大切に使い
暮らしを工夫し楽しむスタイル

今後日本も無理なくこのようなスタイルになっていくことになるのだろう
と昨年本を読みながら思っていました。

もうすでに物はあまり持たずに共有していくスタイルが浸透していってますね

物に価値をおかなくなったということ
どんどん拝金主義ではなくなっていく
昔は貧しい暮らしといわれていたことも
シンプルな暮らしとなって
新しい生き方として浸透しています

品のいい生き方が見直されていますし
今後ますます好まれていきます

バブルがはじけて
物があふれ
その影で沢山の人が泣き
そして今は物はそんなにいらないと言うことに気がついた

所有することはパワーのいることです
ならば共有していこうという流れ

国のあり方も大きくかわり
家族のあり方も変わっていきますね

最後まで自分を貫き通す清い生き方
森茉莉、おもしろい方でした

「貧乏サヴァラン」より

「だいたい贅沢というのは高価なものを持っている事ではなくて
贅沢な精神を持っている事である。
容れものの着物や車よりも、中身の人間が贅沢でなくてはダメである。
指輪や何かを落としたり盗られたりしても醜い慌てかたや口惜しがり方は
しないのが本物である。

(本当の楽しさについて)
皮膚に触れる水を喜び、下着やタオルを楽しみ、朝起きて窓を開けると
何が嬉しいのか分からないのが嬉しい。
歌いたくなる。
髪をすいていると楽しい。
卵をゆでると、銀色の渦巻く湯の中で白や、
薄い赤禍色の卵がその中で浮き沈みしているのが楽しい。
そんな若い女の人がいたら私は祝福する。

苦しさも暗さも後になって振り返ってみれば切ない喜びだ
美味いものには辛さもある。
苦しみもある。
生きている歓びや空気の匂い、
歓びの味、それが分からなくてなんの享楽だ。
なにがいきていることだ。

「贅沢貧乏」より
自分が好きな食事を造ること、自分の体につけるものを清潔にしておくこと
下手なお洒落をすること
自分のいる部屋を、厳密に選んだもので飾ること
楽しい空想のために歩くこと
何かを観ること
これ以外のことで魔利は動かない。
夜明けに人の居ない空き地に立っていれば
毎日千円ずつ空から降って来るというのだったら
魔利は原稿なぞは1枚も書かないかもしれない
書きたいとは思うがペンを動かすことがひどく億劫だからだ
千円は望みが小さいという人があったら、
魔利は答えるだろう。
それ以上の、本当に金を使ってやる贅沢には、
空想と創造の歓びがない。と

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